サイコ・ゴアマン〜少女と悪魔の心温まるストーリー〜
すごいぜサイコ・ゴアマン
2021年公開 カナダ映画 監督スティーヴン・コスタンスキ
出演 ニタ・ジョゼ・ハンナ オーウェン・マイヤー アダム・ブルックス アレクシス・ハンシー他
星★★★★★★★★★★10/10
よりも怖いのは
人間の少女でした。
登場人物
ミミ / ニタ = ジョゼ・ハンナ
ある意味本作の主人公。
どんな悪役も彼女にはかなわない、そのクレイジーぷりは映画歴史上屈指である。
演じるニタ = ジョゼ・ハンナはこの映画が初出演、初主演だそう。お、おそろしい・・・
ルーク / オーウェン・マイヤー
ミミの兄。
完全に妹の勢いに負けており、不遇の時間を過ごす。
わりと常識人なのかと思いきや、サイコ・ゴアマンを見てもさほど驚かない。この兄にして、あの妹ありである。
グレッグ / アダム・ブルックス
ミミとルークの父。
怠けもので、すぐに仕事をさぼろうとするクセにそのことを指摘されると、不機嫌になるドクズ。
ある意味こいつもサイコ。
スーザン / アレクシス・ハンシー
ミミとルークの母。
夫グレッグとは違い、働きもの。
なぜグレッグにひかれたのかは謎。
サイコ・ゴアマン
とある惑星で奴隷として働いていたが、謎の石の力によりパワーアップ。
皆殺しによる皆殺しを経て、封印された。
ドラムやラップもいける憎いやつ。
悪魔と呼ばれている。
大人の戦隊ヒーロー
この映画、予告編がすべてだ。
予告編が気に入れば映画全編気にいるだろうし、逆もまたしかりである。
サイコ・ゴアマン改めPGをはじめとして、キャラクターたちの造形がすばらしい。
幼い頃に見た特撮ヒーローたちの怪人たちは、これぐらい不気味だった。(ように感じる)
気持ち悪さのなかにも、かっこよさやカワイさが入り混じり、さらに安っぽさも入っている。
ストーリー的には、
**サイコ・ゴアマン起きる
敵を倒すうちに少女ミミとの友情が芽生える **
というめちゃくちゃシンプルな構成。
ちなみにサイコ・ゴアマンは悪魔で完全なる悪、敵役の天使もカルト教のようで、こちらも正義とはいえない感じ。
少女ミミに関しては今作、どころか全映画含めても随一のイカれっぷりで、傍観している宇宙人どもが比較的常識人という状態なのである。
後半ややダレるとはいえ、終わりまで駆け足でサッと観ることができる。
なんだったらダレるポイントもB級感を増すために、ワザとやってる感も。
クレイジーボールが理解不能なのはお約束なので、気にしないでいい。
B級ホラーにありがちな、お色気シーンも最後までまったく無かったというのも、まさに特撮で良いポイントだ。(残念なポイント?)
さらに、エンドクレジットでのタイトルが映るシーンなど、もろに80年代特撮オマージュだろう。
あふれる日本愛
全体的に漂う特撮の香りから日本への愛情が感じられる。
敵キャラがおもむろに日本語を話し出したときには驚いた。
しかも洋画にありがちな、たどたどしいものではなく、完璧な日本語。 どうやら、『黒沢あすか』さんが声優を務めているそうな。
現地で適当に募集すればよいものの、わざわざ日本人女優に声をあててもらっていることからも好感度が高い。
ゴアゴア
子供でも観れそうな雰囲気であるが、ゴアシーンは多め。
PG12指定ではあるので、そこは親の良識が問われるところだ。
ただ、生々しいものではなく、作りもの全開なゴアさなので、個人的には観せても問題ないと思う、、、知らんけど。
少女ミミ
この映画の最大の魅力は、サイコ・ゴアマン・・・ではなく、少女ミミだ。
サイコ・ゴアマンを恐れるどころかアゴで使い、実の兄にはSATSUGAI予告、しまいにはキリストの十字架をへし折るなど、まさに神をも恐れない。(キリスト圏でこのシーン大丈夫なんだろうか・・・)
なんせ笑顔がちょー怖く、演じる子役ニタ = ジョゼ・ハンナが心配になるほど。
狂気まみれの彼女は、作中誰よりもサイコなのだ。
どう考えてもサイコゴアマンは悪なのだが、ミミに振り回され、なぜか良いやつに見えてくるのが不思議。
衝撃のラスト
ネタバレ注意(ただし大勢に影響なし)
ミミたちとの触れ合いにより、T2のシュワ氏よろしくすっかり人の心を持ったサイコ・ゴアマン。
あれほどまでに殺したがっていたミミたちには手を出さず、サイコ・ゴアマンは自由の身に。
一方主人公家族も自分たちさえよければ、あとは知らんとばかりだ。
お父さんが何度も重ねて言った『他の人を殺させない』約束を(ミミが)忘れているのもしっかりと回収されている。
まとめ
B級感全開、ゴアシーンもたっぷりで苦手な人は受け付けないだろうが、好きな人はとことん好きだろう。
特撮愛にあふれた傑作だ。
通信終わり